蕎麦好きの独り言(2014.12.05up)

その壱弐、「奥義秘伝」


寒さに耐える猫達にも奥義はあるのだろうか?


あれよあれよという間に今年も師走に突入、年賀状の準備もやる気が湧かない。と言うか山に行けてないので良い写真がないのだ(汗)
はてさてどうしたものか…

先日一週間ほどの食事制限を自分に科した。もちろん酒も控えたのだが体重はほとんど変わらなかった。
これらの結果は精神的にも肉体的にも相当頑固な偏屈者だと言う証明になるだろう。
そして禁を解いたその日に某蕎麦屋に赴き、鴨南蛮をむさぼり食う。その後行きつけの魚屋から売れ残ったカニを押しつけられ、夕食にしたら目方がすぐに増した。
これは「無駄な努力はしなさんな」と言う天啓だ。

冬が足音を立てて近づいてくると不思議に食い物が美味く感じられるのだが、食欲の趣くままの生活で正月休みに突入したなら間違いなく…
まあ良い。
ところで蕎麦を食する際に「ずずず」と啜り込む音を発する人がいる。かく言う筆者もそのうちの一人であるが、これは日本独特の食べ方なのだという話を聞いたことがある。
他の国でパスタをこんな風に食べたら露骨に嫌な顔をされるそうだが、所変わればである。

落語家が扇子で蕎麦を啜り込む真似をするが、あれなんかとんでもない音を立てている。
落語自体大江戸の昔からある古典芸能な訳で、その頃から日本人は蕎麦をそんな風に食していたのだろう。この啜り込んで食べる行為というのは、よその国の人には出来ないことなのだそうだ。と言うか食物をそのように啜りながら食べる習慣がないらしい。
まあ、そんなことは誰でも知っている話なのだが、蕎麦の香りを鼻腔で感じながら味わい、かつ喉ごしの良さと味を楽しむと言う高尚な食の技術を理解し得ないというのは、実にもったいないことなのではなかろうか。

最近世情を騒がしている原因が、こういった日本独特の文化を他の国の人達が理解出来ないという事なのだと思う。
日本には家畜を食べる文化は以前無かったのであるが、最近の人達はお魚さんよりも牛さんを好むように食文化も変化した。
とろけるような大トロなんて昔の人達は廃棄していたのだが今では最高の食材である。
欧米では刺身なんて食べる人は以前いなかった。野蛮であるなんて非難もされてもきた。しかし現在はスシバーなんて何処の国でも受け入れられているし、フォークでなく箸で食べる人も多い。
箸自体も低俗だとか野蛮なものだとか言われた時代もあったのだ。

和食はユネスコの無形文化遺産に登録されたそうである。言うなれば後世に伝承すべき食文化だと世界が認めたのだ。では蕎麦は日本独特のものかと言えばさにあらず、世界中で食べられているそうで、そもそも日本には中国から大昔に伝えられたものらしい。
しかし現在の「そば切り」として広まったのは江戸時代のこと、その食文化は日本独特のものだという。
ちなみに中国では蕎麦(チャオマイ)と呼ばれているそうで、表記は日本と同じ漢字なのだそうだ。

日本では蕎麦を粉にして蕎麦粉だけ使った料理として成り立っているが、他の国では蕎麦粉を他のものに混ぜて調理することが多いそうだ。まあ、小麦粉の代わりみたいな使い方が多いのだと思う。
ちなみに酒田には「むきそば」と言う郷土料理がある。これは蕎麦の実を粉にせずそのまま茹でて食すもの、ケンミンSHOWで取り上げられましたね。
これから年末、年越し蕎麦が飛ぶように売れる日も近いが、そう言えばまだ新蕎麦を打っていないのだ(汗)


むきそば

世の中には蕎麦の食べ方に作法を求める人もいる。試しにネットで「美味しい蕎麦の食べ方」でググってみる。あまりまじめに読む気のしない内容のものも多いが、こんなのがあった。


そばの正式な食べ方。
それは、

「口から食べること」。

なかなかシュールですな。



あるいは、こんなのもあった。


長野にあるおそば屋さん「かんだた」のブログから引用



まあ、あまりしゃっちょこばる必要はないみたいだが、お腹のすいた時に食べるなんてのは目から鱗ですな。
そう言えば最近体を動かしていないからか、空腹感というものが退化したように感じる。冒頭にも書いたが食べなければ食べないで済ませる事が出来るようになった。
考えてみると筆者の場合、食事も飲酒も習慣的な要素が強い。そして家人にいつも怒られる習慣が早食いなのだが、いくら怒られてもこればかりはなかなか直せないもので、分かってはいるがついつい箸が出てしまう。
その気になれば今でもお昼の弁当なんて水気無しで3分以内に平らげることが出来るのだ。(汗)


蕎麦を食べる時ももちろん早食いだ。でもこれは非難されるばかりのことでもないようで、早く食べることは蕎麦の風味を落とさないで食べる極意のようでもある。
当然早食いの時はろくに噛まずに飲み込むのだが、巷間ではお下品なこととされている。
しかし、この早食いの技術?は、そんなに簡単に身につくものではない。筆者にしたところで初めからそんな食べ方なんて出来なかった。
生存競争に打ち勝つために長い時間を掛けて身につけた技である。それが前述のように蕎麦食いの極意のような事を言われると溜飲を下げた思いがするのだ。
そう、早食いこそ蕎麦を楽しむ奥義なのだ。

庄内は知る人ぞ知る食材の宝庫、こと蕎麦粉に関してもなかなか魅力的な品がある。
我が家のスタイルは蕎麦を楽しみながら刺身も楽しむと言うものだが、刺身に限らずこれからの季節には美味しいものがいっぱいあるのだ。
暴飲暴食は慎みたいと願うも意志の弱さは折紙付き、結局ただのおデブな悲哀をおびた中年になるのは目に見えている。もちろん早食いは肥満の原因であることも重々承知しているのだが…

やれやれ